2012年1月2日。新年第一弾は、The Old Vicの「Noises Off(ノイジズ・オフ)」。
やっぱり新年最初は素直にハッピーなものを、と思いセレクト。 もともと舞台裏モノが好きということもあるけれど、思った通り、 三谷幸喜作品的(というより、こちらが本家か)なウェルメイドなコメディで、 深く心に残るというわけではないけれど、心置きなく笑い転げて、 幸先良い年の始まりを迎えられたような気になる芝居だった。
もともとThe Old Vicでは知的系なイギリス人を多く見かけるけれど、 今回は1982年初演の古典的英国作品というだけあって、 英国人(白人)率+高齢者率+家族率が異常に高い。
舞台初日を迎えるまでの俳優と裏方たちが繰り広げるドタバタ劇中劇。 1幕目は客席にいる演出家が舞台上の役者たちに注文を出しつつリハを進め、 2幕目は初日マチネが進行中の舞台裏、そして3幕目で初日イブニングの表舞台を見せる構成。要は舞台上で同じ芝居を3回、形を変えて演じていくというわけ。
1幕目は典型的なストーリー展開で、少々、古臭さが目に付くところもあったけれど、芸達者な役者たちのお陰でところどころでクスリと笑える部分あり。 でも圧巻は2幕目。壁一枚隔てた舞台奥が表舞台(ややこしいな…)という設定で、壁のこちら側(劇中劇では舞台裏)でしっちゃかめっちゃかやりつつも、なんとか滞りなく舞台を進めようとする役者たちの涙ぐましい努力が展開する。 いったん舞台の幕(劇中劇の幕、ね)が開くや、セリフを一言も発することなく、めまぐるしく駆け巡る出演者たちのタイミングのパーフェクトさが実に小気味良い。 もう途中からは観客席も爆笑に次ぐ爆笑。
3幕目は、プライベートで仲違いをしている役者たちがなんとかイブニングをやり遂げようとするものの、もはや修復不可能なまでにストーリーが破壊されていく。正直、3幕目のラストはちょっとやりすぎ感が漂っていたような気もするけれど、同じ芝居を3回連続で見せてここまで笑わせるのは、お見事。
前夜にウェブサイトをチェックして、残り1枚のチケットをゲット。 1席だけだったから余っていた(と思われる)ものの、視界は抜群。デイ・チケットは朝5時から並ぶわよと劇場スタッフに脅されつつ、見事リターン・チケットをゲットした、昨年末最後の「Jerusalem」に引き続きの快挙。舞台そのものの良さもさることながら、幸先の良い2012年観劇スタートに、妙に心が軽やかな夜だった。